第2.5節 square bracketsによる文字装飾
Scrapboxはすべての情報をテキストで扱う。だからデータが小さく、動作が軽い。文字に対する装飾もsquare bracketsを使ったテキストで指定する。主だったScrapboxの記法を挙げておこう。
内部リンク:[文字列]──「文字列」というタイトルのページにリンクする。
外部リンク:[文字列 URL]又は[URL 文字列]──例えば成蹊大学のwebサイトへのリンクは、[成蹊大学 http://www.seikei.ac.jp/university/]
太字:[* 文字列]──「*」の数を増やすほど「文字列」のサイズが太く(大きく)なる。
強調:[[文字列]]──文字列を強調表示する。
斜体:[/ 文字列]──文字列をイタリック体にする。
下線:[_ 文字列]──文字列にアンダーラインを引く。
抹消線:[- 文字列]──文字列に抹消線を引く。
アイコン:[文字列.icon]──「文字列」をタイトルとするページの最初にある画像をアイコンとして文章中にインライン表示する。
ユーザーアイコン:[ユーザー名.icon]──ユーザーが自分のユーザー名のページを作成してあると、そのページの最初の画像がアイコンとして表示される。control+iで入力できる。
引用:> ──行頭に「> 」をつけるとその段落は引用表記になる。
このほか、数式、コード、コードブロック、テーブルなどを表記できる〈注19〉。非常にシンプルなマークアップ言語なのだ。
webサイトを表現するHTMLは<html>と</html>とによって文字列をマークアップしていくが、高度な表現が可能な代わりに複雑である。それを克服しようとしたMarkdownという記法も、HTMLに比べればシンプルだが、依然として一般人には馴染みにくい。その点、Scrapboxは基本的に[ と]とのsquare bracketsのみですべてを表現可能であり、シンプルさを極めている。記法全体に一貫性があり、容易に理解できるので、多くの人にとって使いやすいだろう。
また「settings」というページを作成してCSS〈注20〉を書くことにより、各要素をユーザーの好みのスタイルに細かく指定することができる。さらに自分のユーザー名のページにスクリプト(簡単なプログラム)を書くと、Scrapboxプロジェクトに機能を付加できる。このようなUser CSSとUser ScriptはすべてのScrapboxプロジェクトで公開されているから、公開されているScrapboxプロジェクトから好みのUser CSS、User Scriptをコピーして自分のプロジェクトにペーストするだけで利用可能。「工夫は共有されるべき」とするScrapboxのエンジニア橋本翔氏らの思想が反映されており、賛意を表する。 /icons/-.icon
20) Cascading Style Sheets:webページのスタイルを指定するための言語体系